シェル成形はどこから?
1.5ヶ月遅れで選手たちのブーツチューンを開始しました。
今は9/24出発のモーグルNTトップ選手たちのブーツのシェル加工を行っています。
選手たちは完成予定に合わせて全国各地から来ないといけないので、このコロナ禍では移動だけでも大変です。
今回のお題「シェルの加工はどこから?」とは、
スキーブーツのシェル加工を行うときにまず行わなければいけないのは、「爪先の形状」に合わせた加工を行うことです、
上記の図(爪先の形状)のように人の爪先の形状は人のよって異なっており、同じ人でも左右によって異なっている方もお見えになります。
よく「ブーツと足のセンターを合わせる」ということを耳にすると思います。
これと同じ意味合いですが、センターを合わせるには爪先が窮屈でもなくガバガバに空き過ぎてダメなのです。
10年ほど前に文科省の予算で3名のスピードスケート靴の設計を行ったことがありました。
そのときはスキーブーツのイメージが強過ぎた設計になってしまい、3名中1名のみが本ちゃんでも使用してくれました。
要するに2名分は失敗作だったのです。
原因は爪先の形状です。
スピードスケートの刃の氷上との接地幅は1.5mmです。この1.5mmの刃の上に乗る爪先形状でないといけなかったのです。
スキーはといえば、モーグルで70mm弱、一般向けは90mmくらい、深雪用は100mm以上と様々ですね。
FTBootsで選択するとなると、まずシェルのモールド(Soul,Original,Evolution)で選べば良いですね。
しかし、フリースタイル(モーグル、スロープスタイル、ハーフパイプ)で圧倒的に人気のドロップキックプロだとモルードはOriginalで40年ほど前の代物です。
なぜ人気があるのか?はまたの機会にお話ししますが、
このモールドの爪先形状は先細で、ジャストのサイズを選択すると多くの方は爪先が詰まっているように感じると思います。
それはその筈、40年前のスキーの板は如何でしたか?細く長いスキーでしたよね。
その頃の他のメーカーのスキーブーツも同じように爪先が先細の形状になっていたものです。
スピードスケート靴のような細い刃ではありませんが、スキーの幅は時代と共に広くなって来ました。
今でもあの頃と同じようなフォルムを持っているのはモーグル競技専用のスキーくらいです。
しかし、モーグルにおいてはフラットなバーンを滑るのではなく、凹凸のあるコブを滑り、且つ難易度のあるエアをしなければならないので、詰まった爪先では…?
このようなことから、「シェル成形の始めは爪先の形状を合わせる」ことです。